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第481話『見ること、聞くこと、感じること』-【群馬県にまつわるレジェンド篇】小説家 徳冨蘆花-

11:47
 
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群馬県の伊香保温泉でこの世を去った、明治・大正期の文豪がいます。
徳冨蘆花(とくとみ・ろか)。
幼少期より病弱だった蘆花は、自分の心や体の変調に敏感でした。
破天荒で自由人。時にわがまま、傍若無人。
でも、こよなく自然を愛し、体を整えるために旅を好み、しばしば、伊香保温泉を訪れていました。
自分に海が必要とあらば、神奈川の逗子で暮らし、山間を欲すれば、伊香保におもむく。
そして晩年、妻と農業をやりながら住んだ地は、東京、千歳村粕谷。
現在の世田谷区、蘆花公園です。
彼の名がついた庭園には、今も旧宅が保存され、緑豊かな自然が残っています。
徳冨蘆花の名を世に知らしめたのは、明治31年11月29日から国民新聞に連載された小説でした。
題名は『不如帰(ほととぎす)』。
主人公、浪子は、実家の継母に苛められ、嫁いだ先の姑に苦しめられ、やがて夫は日清戦争に出征。
ひとりになった彼女は結核となってこの世を去る、というストーリー。
流行の兆しがあった家庭小説というジャンル、そして、女性の苦悩をひたすら描いた斬新さと、結核という当時の感染症のリアルな描写に、読者は次号を待ち望みました。
この小説は、「あ丶辛い! 辛い! ――最早(もう)婦人(おんな)なんぞに――生まれはしませんよ。」という流行語を生みました。
さらに、夫の出征を見送るシーンで、浪子がハンカチを振ったことを受け、「別れ」に「ハンカチを振る」ことがスタンダードになったと言われています。
蘆花は、逗子にいた頃、ある女性から聞いた逸話を、『不如帰』という小説に脚色したと、自ら認めています。
彼は生前、よく知人に話していました。
「私は、見たこと、聞いたこと、感じたことしか、書けない」
ゼロから想像して書くひとを決して否定はしませんでしたが、自分の流儀は、あくまで、自然主義。
この世を美化しない。ファンタジーでごまかさない。
そのことで周りとの軋轢を深め、時に誹謗中傷を受けましたが、彼は終生、己の主義を貫いたのです。
あえて茨の道を選んだ作家、徳冨蘆花が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?
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徳冨蘆花(とくとみ・ろか)。
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破天荒で自由人。時にわがまま、傍若無人。
でも、こよなく自然を愛し、体を整えるために旅を好み、しばしば、伊香保温泉を訪れていました。
自分に海が必要とあらば、神奈川の逗子で暮らし、山間を欲すれば、伊香保におもむく。
そして晩年、妻と農業をやりながら住んだ地は、東京、千歳村粕谷。
現在の世田谷区、蘆花公園です。
彼の名がついた庭園には、今も旧宅が保存され、緑豊かな自然が残っています。
徳冨蘆花の名を世に知らしめたのは、明治31年11月29日から国民新聞に連載された小説でした。
題名は『不如帰(ほととぎす)』。
主人公、浪子は、実家の継母に苛められ、嫁いだ先の姑に苦しめられ、やがて夫は日清戦争に出征。
ひとりになった彼女は結核となってこの世を去る、というストーリー。
流行の兆しがあった家庭小説というジャンル、そして、女性の苦悩をひたすら描いた斬新さと、結核という当時の感染症のリアルな描写に、読者は次号を待ち望みました。
この小説は、「あ丶辛い! 辛い! ――最早(もう)婦人(おんな)なんぞに――生まれはしませんよ。」という流行語を生みました。
さらに、夫の出征を見送るシーンで、浪子がハンカチを振ったことを受け、「別れ」に「ハンカチを振る」ことがスタンダードになったと言われています。
蘆花は、逗子にいた頃、ある女性から聞いた逸話を、『不如帰』という小説に脚色したと、自ら認めています。
彼は生前、よく知人に話していました。
「私は、見たこと、聞いたこと、感じたことしか、書けない」
ゼロから想像して書くひとを決して否定はしませんでしたが、自分の流儀は、あくまで、自然主義。
この世を美化しない。ファンタジーでごまかさない。
そのことで周りとの軋轢を深め、時に誹謗中傷を受けましたが、彼は終生、己の主義を貫いたのです。
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